2026年4月10日

国際情勢・調査特報

ヨーゼフ・シュンペーターの1942年の著作『資本主義・社会主義・民主主義』は、現代の日本、米国、欧州の経済的停滞と衰退を理解するための重要な視点を提供します。シュンペーターは、資本主義が成功によって自己崩壊へと導かれる過程、特に「創造的破壊」の機能不全を示唆しています。起業家の役割の変化や、規制の過剰による革新の阻害、ゾンビ企業の延命といった現象が、各地域の経済の動態を衰退させています。再び創造的破壊を促進するためには、淘汰の受容、起業家精神の復権、規制のパラダイムシフトが不可欠です。
現代の自由民主主義と市場資本主義は深刻な緊張にある。マーティン・ウルフの『民主的資本主義の危機』では、この二つが共生する一方で相互に破壊し合う「離婚」の危機を警告している。特に「プルト・ポピュリズム」はその顕れであり、トランプ氏はこれを体現する指導者とされる。この政治現象は、中間層の衰退と経済的不平等が背景にあり、富裕層の利益を追求する政策が一般市民の支持を得るために文化的な対立を強調することから生じている。これに対抗するためには市民意識と経済システムの見直しが求められている。
2025年の「ライジング・ライオン作戦」を契機に、イランの十二イマーム派は歴史的危機に直面している。イランは経済崩壊と内部抗議に苦しみ、国家権力と神権政治の統一が脅かされている。信者の間で宗教からの脱却や国家との分離が支持され、次世代の権威システムへの移行が模索される。ナジャフへの権威の移動は、宗教的自主性の復活を促進しており、イランのシーア派の在り方を再定義する契機となる可能性がある。将来は世俗的な政府設立や宗教的権威の脱政治化が見込まれ、革新が予想される。
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対して実施した「オペレーション・エピック・フューリー」により、イランの最高指導者ハメイニが死亡。この出来事は中東のみならず、北京やモスクワに大きな影響を及ぼした。ロシアは米国の行動を国際法違反とし、外交交渉の無意味さを再確認。一方、中国は慎重に対応しつつ、経済的利益に基づく戦略を模索。イランの国家体制が崩壊するリスクを警戒する中、ロシアと中国はそれぞれ異なるが協調的な対応を取っている。
2026年の国際情勢は、米国主導の一極体制から多元的秩序への移行が進む中、高市早苗政権の誕生により、日本は自立した主権国家としての新たな役割を模索している。ジョン・ミアシャイマーの「攻撃的現実主義」と対比し、本提言は米国の衰退を新たな秩序の構築の機会と捉え、日本が和解と多元的な秩序の形成を先導すべきだと主張する。日本はグローバル・パブリック・グッズの維持に寄与し、対立を超えた橋渡し役となることが期待されている。
アメリカ合衆国の「パックス・アメリカーナ」の衰退は、外部の挑戦や内部の矛盾により加速している。この状況は日本にとって「従属からの脱却」と「真の独立」の機会となる可能性がある。トランプの再登板は、アメリカの国際的役割を変え、加速主義的なアプローチに基づく政策を推進している。日本はアメリカとの依存関係を見直し、多国間主義に基づく独自の立場を構築することで、アジアと世界の安定に寄与することが求められている。新しい時代を迎えるチャンスが到来している。
第1章では、現代の戦争の形態が情報や思考への介入を重視する認知戦に変化していることを解説。NATOや米国、イスラエルが「脳」を第6の戦域として認識し、人間の意思決定を操作することを目的としている。続く章では、イランとの対立における情報操作や、AIを駆使したデジタルプロパガンダが展開され、両国が互いの内部を攪乱する様子が描写されている。また、米国はCIAを通じてイラン国内に認知的アプローチを強化し、技術的優位性が相手に心理的圧迫を与える様子が示される。最終的には、情報リテラシーの重要性と、認知戦の防御策が強調されている。
最高指導者アヤトラ・アリ・ハメイニ率いるイスラム体制の転覆を最終目標として掲げているが、地政学リスク分析の観点からは、この戦争が短期間で終結し、かつ米国の望む形で成功を収める可能性は極めて低いと断ぜざるを得ない。戦争を開始することは政治的決断一つで可能であるが、それを望ましい形で終わらせることは、2003年のイラク戦争や20年に及んだアフガニスタン紛争の教訓が示す通り、極めて困難である。
21世紀の第3四半期を迎えようとする今日、世界は「新帝国主義」という言葉が単なる歴史的用語ではなく、冷徹な国際政治の現実として蘇る時代を経験している。19世紀末から20世紀初頭にかけて、列強諸国が領土分割に奔走した「新帝国主義」の時代と、現在の国際情勢には驚くべき類似点が見られる一方で、その支配のメカニズムは質的な変容を遂げている。